水環境学会誌
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調査論文
下水と河川水における薬剤耐性腸球菌の存在実態とその比較
西山 正晃竹下 友作鈴木 祥広
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キーワード: VRE, 腸球菌, 薬剤耐性, 下水, 河川水
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2015 年 38 巻 2 号 p. 57-65

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抄録
水環境における腸球菌を対象として,バンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococci, VRE)やその他の薬剤耐性腸球菌の存在実態を調査した。調査は,宮崎市内の下水と河川水の定点において,2011年6月から2012年7月の期間で10回実施した。調査期間中に単離した全ての腸球菌から,VREは検出されなかった。しかしながら,バンコマイシンに中度耐性を示す腸球菌が,下水から8.4%(20株/239株),河川水から1.9%(5株/261株)検出された。また,下水と河川水における腸球菌の60%は,汎用性の高い抗生物質であるエリスロマイシン,あるいはテトラサイクリンの一方に耐性を示した。約1年間実施した調査では,薬剤耐性腸球菌の検出率は月ごとに変動した。各種抗生物質に耐性を有する腸球菌は普遍的に水環境中に存在する。
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© 2015 公益社団法人 日本水環境学会
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