抄録
東京多摩地区のプール水中消毒副生成物の実態調査で,屋外プール水中に塩素酸及び臭素酸が高濃度に存在することが判明した。そこで,プール水中にこれらが増加する原因と低減化策を探るため,プール施設で使用している次亜塩素酸ナトリウムとプール水中の塩素酸及び臭素酸の濃度とその経時変化を調査し,更に,これまでの調査データについて詳細な解析を行った。調査の結果,屋外及び屋内プール施設で使用している次亜塩素酸ナトリウムの品質に大きな違いはなく,プール水中に塩素酸濃度が上昇する主因が別に存在すると考えられた。原因として,プール水中の塩素酸と塩化物イオンの濃度の傾向から屋外プールでは次亜塩素酸ナトリウムが消毒に必要な以上に投入されていることがうかがえた。塩素酸濃度の低減化には,塩化物イオン濃度を指標とした次亜塩素酸ナトリウム投入量の制御と補給水の追加でプール水を希釈することが有効であると考えられた。