水環境学会誌
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調査論文
大分川におけるふん便性汚染に関する細菌学的調査
古川 隼士野中 尋史平岡 透高見 徹亀野 辰三
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2015 年 38 巻 6 号 p. 173-180

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抄録

本研究では,大分川の将来の河川管理における衛生指標の数値目標を定めるための情報を蓄積することを目的として,ふん便指標細菌(大腸菌群,ふん便性大腸菌群,大腸菌,腸球菌)の存在実態調査を実施した。調査は大分川の上流から下流の全17地点とし,期間は2013年12月~2014年11月に毎月一回の調査(計12回)を実施した。環境基準項目である大腸菌群数は,多くの調査地点において高濃度で検出された(平均1.1×104 MPN·100 mL-1)。また,他の3種の細菌も高濃度で検出される場合があった。各細菌濃度は夏季に高くなる傾向で,温泉施設が点在している上流部において細菌濃度の変動が大きかった。ふん便指標細菌間の相関分析では,上中流部ではほとんどの項目間で相関がなかった一方で,下流部ではすべての項目で0.38以上の相関係数を示した。細菌濃度と高い関連性を示す水質項目はなく,細菌学的水質を一般水質から推定することは困難であることが示唆された。

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© 2015 公益社団法人 日本水環境学会
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