水環境学会誌
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調査論文
芹川ダムの下流で2-MIBが高濃度で検出された2014年のダム周辺の水質特性について
横田 恭平
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2015 年 38 巻 6 号 p. 181-188

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抄録

2014年10月に大分川を水源とする水道水からカビ臭が発生し,その発生源は大分川の支流である芹川に建設された芹川ダムが原因であると大分市によって公表された。そこで,本研究では芹川ダムでの2014年とそれ以前の水質特性を比較し,カビ臭が発生した原因について化学的指標を用いて推測することを目的とした。カビ臭の発生原因である2-MIBは,2014年に芹川ダムをはじめ,下流域でも高い濃度を示した。芹川ダムでの表層と下層の水温差から,11月から翌年1月までの間で水温成層は破壊されていると考えられる。しかしながら,2014年のアンモニア態窒素の挙動は,11月まで2013年までと同じ傾向を示したが,翌2015年1月は異なり,2014年11月よりさらに濃度が上昇する結果となった。以上のことから2014年は,ダム内で貧酸素の状態が長く続いたことにより,本来は分解される2-MIBも完全には分解されない状態で下流にまで到達した可能性がある。

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© 2015 公益社団法人 日本水環境学会
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