水環境学会誌
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調査論文
芹川ダムにおけるかび臭物質産生藍藻及び2-メチルイソボルネオールの推移についての評価
高橋 威一郎高瀬 勝教竹下 佳代子河野 博幸馬見塚 守岐津 英明
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2016 年 39 巻 2 号 p. 51-62

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抄録

大分県の芹川ダムにおいて, 平成26年10月に2-メチルイソボルネオール (MIB) が高濃度化し, 本ダムの下流の表流水を水道水源とする大分市では大規模なかび臭障害が発生した。原因はダム湖内でのかび臭物質産生藍藻 (かび臭藍藻) の増殖であり, 遺伝子配列解析及びMIB産生能評価の結果, Pseudanabaena limnetica及びPseudanabaena galeataと推定された。11月中旬のダム湖秋季循環期到来以降, 湖内のかび臭藍藻やMIBは急激に低減し, 微生物群集構造解析の結果, 湖水循環前後での群集構造の変化が認められ, 細菌による生物分解の関与が示唆された。かび臭藍藻は水温が10 ℃以下の低水温環境でも生息し続け, MIB産生能もわずかに有し, 15 ℃以上となると活発な増殖と高いMIB産生能を示した。また, かび臭藍藻の溶藻やMIBの分解等の生物分解の発現にも至適温度があることが示唆された。

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© 2016 公益社団法人 日本水環境学会
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