ライニング管や硬質塩化ビニル管における懸濁物質の発生源を見出すため, 水中カメラ調査および, ライニング管内に存在する付着物, 無ライニング管内より採取した腐食生成物と, 管内流水中の懸濁物質の組成の調査を行った。ライニング管の水中カメラ調査では管壁への付着物の蓄積や接続部の腐食がみられた。供用後の水道管から得た付着物, 腐食生成物を分析すると, 付着物や, 深さ方向に5箇所分析した腐食生成物のうちの表面部は, Al, Si, Mn, Feのほか多種の元素を含んでいた。一方, 腐食生成物の内部はFeが主成分であった。懸濁物質を3段階の粒径範囲 (~25 μm, 25~97 μm, 97 μm~) ごとに分析すると, 分析対象元素の総濃度は25 μm以下で高く, 懸濁物質はこの粒径範囲に多くの数, 重量が存在すると考えられた。付着物や腐食生成物 (表面) と懸濁物質とでは, 管内流水中へ混入する起源が異なるAl, Feをともに多く含む点などの共通点がみられた。
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