2017 年 40 巻 3 号 p. 153-165
小笠原村では水道水中のトリハロメタン (THM) や溶存有機物 (DOM) 濃度等が高いため, 父島の新浄水場の建設に伴い, 帯磁性イオン交換樹脂 (MIEX®) 処理を日本で初めて実際の浄水場に導入した。従来の活性炭・凝集沈殿処理後へその処理を導入したが, 凝集沈殿処理後への導入は前例がなく, 今回その効果を検証することを目的とした。その結果, 水道水中のTHMやハロ酢酸 (HAA) の前駆体及びDOC等の除去率が向上した。原水中のDOMの分子量は, 活性炭・凝集沈殿処理, さらにMIEX®処理により低下した。新浄水場の水道水中のTHMとHAAの濃度は, 旧浄水場の半分以下に減少した。小笠原村の新浄水場のMIEX®の設計段階におけるTHM及びTOCの目標値は, すべて達成された。