抄録
カキの適正養殖量を算出するための第一段階として, 東北沿岸域の宮城県荻浜湾においてカキの飼育実験と環境調査を行い, 広島県のモデルを一部改良した一個体成長モデルを作成した。個体成長モデルを計算する中で, 低水温における酸素消費量OCR=0.0012×t2.16×Wd0.75 (tは水温, Wdは乾燥重量) と, ろ水量FR=0.26e (0.1584×t) ×Wdの計算式を新たに加えることで, 冬期水温が10 ℃を下回る東北沿岸域でも, カキの成長をモデルより推定することが可能となった。モデルでは, カキは初夏から急激に成長するが産卵により一時的に体重減が確認され, 産卵終了後再び成長するカキの個体成長が再現できた。また, ろ水量はカキの成長や水温の増加に伴い初夏に増加し, 一方, 植物プランクトンの大きなブルームは1~4月に起こることから, 餌不足となる可能性が高まるのは夏季と推察された。