抄録
水道原水である利根川の河川水を対象とし, 溶存有機物 (DOM) についてオゾン処理を行い, 蛍光強度測定と分画により分析した。試料に対し, 疎水性酸画分及び親水性画分への分画を実施し, 対象試料の各画分について含有DOMの定量的測定法として蛍光強度測定を行った。結果として, いずれの試料及び画分についてもAOC (同化性有機炭素) 濃度と蛍光強度には相関が見られなかったが, オゾン酸化 (CT値で約0.5 mg min L-1) による親水性画分の蛍光強度減少量はAOCと高い相関を持った。この時の蛍光強度は, フルボ酸, フミン酸様物質が検出される, 励起波長/蛍光波長で250 nm/435 nm及び335 nm/435 nmでの測定結果であった。特にこの相関はPseudomonas fluorescens P17株増殖量由来のAOC濃度において高かったが, Aquaspirillum sp. NOX株増殖量由来のAOC濃度とは見られなかった。これはP17株の生物利用可能成分が, オゾン反応性が高い成分と一致したことに起因すると考えられた。