2017 年 40 巻 5 号 p. 189-197
徳島県沖の外洋水を調査した結果, 2015年3月~2016年9月までのCODの平均値は, 表層から50 m層までは1.2 mg L-1程度, 100 m以深では0.9 mg L-1以下であり, 表層付近で高く底層で低くなる傾向が見られた。これらの値は1970年代から1990年代にかけて調査された近接する外洋地点のCODに比べて増加しており, 外洋水のCODは1975年から2015年の40年間を通して上昇傾向にあることが示唆された。また, 太平洋沿岸域の公共用水域測定地点のうち, 特に陸域の影響を受けにくいと考えられる地点のCODの平均値と広域総合水質調査結果の瀬戸内海の中央部~西部の湾・灘のCODとの間には統計的に有意な正の相関が見られ, 瀬戸内海のCODが減少せずに漸増傾向にある原因として, 外洋水の影響が示唆された。