水環境学会誌
Online ISSN : 1881-3690
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40 巻, 5 号
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研究論文
  • 矢吹 芳教, 小野 純子, 相子 伸之, 中嶋 昌紀, 田中 咲絵, 駒井 幸雄
    原稿種別: 研究論文
    2017 年40 巻5 号 p. 189-197
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/10
    ジャーナル フリー
    電子付録
    徳島県沖の外洋水を調査した結果, 2015年3月~2016年9月までのCODの平均値は, 表層から50 m層までは1.2 mg L-1程度, 100 m以深では0.9 mg L-1以下であり, 表層付近で高く底層で低くなる傾向が見られた。これらの値は1970年代から1990年代にかけて調査された近接する外洋地点のCODに比べて増加しており, 外洋水のCODは1975年から2015年の40年間を通して上昇傾向にあることが示唆された。また, 太平洋沿岸域の公共用水域測定地点のうち, 特に陸域の影響を受けにくいと考えられる地点のCODの平均値と広域総合水質調査結果の瀬戸内海の中央部~西部の湾・灘のCODとの間には統計的に有意な正の相関が見られ, 瀬戸内海のCODが減少せずに漸増傾向にある原因として, 外洋水の影響が示唆された。
技術論文
  • 石川 百合子, 川口 智哉, 東野 晴行
    原稿種別: 技術論文
    2017 年40 巻5 号 p. 199-208
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/10
    ジャーナル フリー
    2015年10月に国立研究開発法人産業技術総合研究所が公開した河川流域の化学物質リスク評価のための産総研-水系暴露解析モデル (AIST-SHANEL) Ver.3.0では, 流域属性データが2005年から2011年に更新されるとともに, 一級水系だけでなく二級水系を含む国内の任意水系を250 mメッシュの空間解像度で暴露評価するモデルが追加された。このモデルはVer.2.5のように一級水系毎の制約条件下の解析とせず, 評価地点を任意に指定し, これを含む上流域の流域データを切り取りかつ解析する機能が追加されている。解析結果はフリーの地図ソフトのGoogle EarthやArcGIS Desktopを用いて, 地図上に表示できる。国内の任意水系を対象にした水質事故等による暴露評価や対策検討のための非定常解析機能を追加したことにより, 事故時から平常時に回復するまでのレジリエンスの評価にも利用できる。
調査論文
  • 福嶋 俊貴
    原稿種別: 調査論文
    2017 年40 巻5 号 p. 209-214
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/10
    ジャーナル フリー
    下水処理場を流域の物質・エネルギー循環の拠点と捉え, 秋田県雄物川流域の一部をモデル流域とし, 4つのシナリオによる回収ポテンシャルを試算した。臨海処理センターを中核とした広域共同化による電力自給率の向上は, 現状シナリオの電力自給率31%がし尿受入シナリオでは有機物の増加により電力自給率は35%へと4ポイント増加していた。公共下水道編入シナリオでは消化ガス発電量は増大するが, 使用電力量の増加が大きく電力自給率は28%と現状シナリオを下回る結果となった。流域下水処理場電力自給率は現状シナリオの19%が, 公共下水道編入シナリオでは28%と9ポイント向上していた。今回の試算結果から臨海処理センターは高いエネルギーポテンシャルを有していると考えられた。リン回収では, 現状シナリオでは73 kg, し尿受入シナリオでは109 kg, 公共下水道編入シナリオでは123 kgでリン回収率23%と最大となった。
  • 藤井 貴敏, 高塚 郁也, 伊達 勇介, 中野 陽一, 青木 薫, 須﨑 萌実, 日野 英壱, 藤井 雄三, 奥田 哲士, 西嶋 渉, 藤江 ...
    原稿種別: 調査論文
    2017 年40 巻5 号 p. 215-222
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/10
    ジャーナル フリー
    農業集落排水処理水が農業用水路と農村部の河川の水質に及ぼす影響を明らかにするため, 農業集落排水処理施設の処理水, 処理水が流入する農業用水路および農業河川の水質分析を行った。また, キノンプロファイル法により底質中および水中の微生物叢解析を行った。その結果, 処理水 (TW) 中の溶存態窒素濃度と溶存態リン濃度の年間平均値は放流先の農業用水路と比較して, それぞれ7.33 mg L-1, 1.83 mg L-1高い濃度で流入しており, 農業用水路の溶存態窒素濃度および溶存態リン濃度は, 処理水流入後に増加することが明らかになった。また, 農業用水路に流入する処理水によって底質の強熱減量あたりの微生物量にわずかな増加が認められた。栄養塩濃度が高い農業集落排水処理水放流による影響は農業用水路内の微生物叢を変化させ, 特に脱窒菌の増加に寄与していることが明らかになった。
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