農業集落排水処理水が農業用水路と農村部の河川の水質に及ぼす影響を明らかにするため, 農業集落排水処理施設の処理水, 処理水が流入する農業用水路および農業河川の水質分析を行った。また, キノンプロファイル法により底質中および水中の微生物叢解析を行った。その結果, 処理水 (TW) 中の溶存態窒素濃度と溶存態リン濃度の年間平均値は放流先の農業用水路と比較して, それぞれ7.33 mg L
-1, 1.83 mg L
-1高い濃度で流入しており, 農業用水路の溶存態窒素濃度および溶存態リン濃度は, 処理水流入後に増加することが明らかになった。また, 農業用水路に流入する処理水によって底質の強熱減量あたりの微生物量にわずかな増加が認められた。栄養塩濃度が高い農業集落排水処理水放流による影響は農業用水路内の微生物叢を変化させ, 特に脱窒菌の増加に寄与していることが明らかになった。
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