水環境学会誌
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研究論文
エステルアミド型ジアルキルアミン塩を用いた下水処理施設の除去性に対する生分解シミュレーション試験 (OECD TG 314B) の有用性評価
舞原 文女本田 大士松本 勝己本多 泰揮山根 雅之鍋岡 良介森田 修
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2019 年 42 巻 3 号 p. 79-89

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抄録

化学物質のリスク評価には, 廃水処理における除去率を考慮した暴露量推計が重要である。本研究では, 生分解シミュレーション試験 (OECD TG 314B) の除去性評価の有用性について, カチオン界面活性剤であるエステルアミド型ジアルキルアミン塩 (EA) を用いて検証した。その結果, 活性汚泥の除去速度から算出した推定除去率は37.1%となり, 実際の処理施設 (都市下水処理施設, 家庭用合併浄化槽) の実測除去率 (>99.8%) より低くなった。有機炭素補正土壌吸着係数 (Koc) の高い化学物質が活性汚泥中の浮遊物質 (SS) へ吸着して除去されることを考慮して, SS吸着態の残留EA濃度と実際の処理施設の放流水中SS濃度から放流水中EA濃度を算出したところ, 推定除去率 (99.7~99.9%) は実測除去率に近似した。従って, OECD TG 314BをKocの高い化学物質の評価に活用するには, 活性汚泥への吸着除去を考慮する必要がある。

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© 2019 公益社団法人 日本水環境学会
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