水環境学会誌
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調査論文
東北沖津波によるかく乱を受けた干潟の回復過程に及ぼす防潮堤工事の影響
鈴木 まゆみ小瀬 知洋大野 正貴玉置 仁川田 邦明
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2019 年 42 巻 4 号 p. 163-169

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抄録

東日本大震災における東北太平洋沖津波によって宮城県奥松島に位置する波津々浦湾干潟はかく乱を受け, アサリなどの底棲生物が大きく減少し, その後回復しなかったことが知られている。本研究では, この波津々浦湾干潟における震災後の回復過程に対する底質環境の変化への沿岸工事の影響を明らかにするために, 干潟底質および排水口からの流入物の金属組成に基づくクラスター分析および主成分分析によって, 干潟底質環境の変化の原因を検討した。その結果, 湾奥に位置する防潮堤工事に伴う埋立現場の排水口からの流入物および湾外からの何らかの流入物の影響が確認された。また, 第一の検討における諸原因の干潟底質に対する影響の空間的分布を検討した。その結果, 湾奥においては排水口からの流入物の影響が強く, 湾口においては, 湾外からの何らかの流入物の影響が強かった。湾中央部の干潟底質において, この負荷の影響は他の場所と比較して小さかった。

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© 2019 公益社団法人 日本水環境学会
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