水環境学会誌
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技術論文
メタン発酵消化液高分子凝集処理水に対する伏流式人工湿地ろ過システムの開始2年間の運用状況
辻 盛生加藤 邦彦佐々木 理史菊池 福道家次 秀浩中村 道生小林 孝行後藤 久典辰巳 俊之田中 栄司
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2019 年 42 巻 5 号 p. 207-218

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抄録

本研究では, メタン発酵消化液処理の省エネルギー化と小面積化を目的として, 高分子凝集処理を組み合わせた伏流式人工湿地ろ過システムの水質浄化機能の評価を試みた。人工湿地処理水のBOD濃度は高分子凝集処理水から99%以上減少し, 最終処理水は全期間を通して目標とするBOD 20 mg L-1未満を下回った。T-Nは高分子凝集処理水から61.6%減少したものの, NO3-Nの残存が見られた。消化液高分子凝集処理水はC/N比が低く, 既に硝化が進んだ後段における脱窒の炭素源不足が要因と考えられた。T-Pは, 人工湿地において97.7%減少した。高分子凝集処理によって, 人工湿地への負荷は, BODとNH4-N負荷量に基づくOTR換算で3割減少し, 複数の人工湿地実施設運用事例の調査結果による試算から人工湿地の面積は約40%削減可能とされた。また, バイオガス発電施設の運用に用いる電力を差し引いた発電量の51%を残余とすることができた。

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© 2019 公益社団法人 日本水環境学会
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