下水汚泥および生ごみなどの廃棄物系バイオマスの混合嫌気性消化で発生する嫌気性消化汚泥の肥料価値向上を目的として, 光合成細菌に着目した。下水汚泥を植種源に, 光照射条件で1ヶ月毎に人工培地を交換する継続培養を8ヶ月間行ったところ, 光合成細菌として知られるRhodospirillaceae科が菌叢解析でのリード数に対する検出割合が55%まで集積した。嫌気性消化脱水分離液に, 最初のみ集積培養液を植種して光照射培養を継続し, 培養液の肥料価値をコマツナ栽培試験で評価した。集積培養液の植種を行わない場合と比較して, 光合成細菌の指標となるpufM遺伝子数が多く, コマツナの新鮮重量, 葉緑素およびカロテノイド含有量で有意 (t検定, p < 0.05) に高い値が得られ, 肥料価値の向上が示された。嫌気性消化汚泥への集積培養液の植種では有意な差が見られず, 光照射培養は嫌気性消化脱水分離液へ適用するのがよいと考えられた。