2021 年 44 巻 1 号 p. 17-25
下水処理場の電力自立とCO2排出量実質ゼロを目指して, 下水処理場機能評価システム (PES) を使用し, 処理能力15~20万m3 日-1の5ヶ所を対象に, 処理能力192,000 m3 日-1のモデル処理場も加えて電力自給率やGHG原単位を試算した。電力自立に向けては省エネ施策と創エネ施策の組合せを評価し, A処理場では省エネ施策を導入すると使用電力量が31,840 kWh 日-1と2割近く削減され, 電力自給率は83%まで向上し, 創エネ施策を導入すると発電量が38,800 kWh 日-1と5割近く増加するので, 電力自給率は105%と電力自立が達成可能と試算された。CO2排出量実質ゼロに向けてはGHG原単位とオフセット率で評価した。電力自立が可能と試算されたA処理場でもGHG原単位0.17 kg m-3とCO2排出量実質ゼロには至らなかった (オフセット率48%) 焼却炉の運転を工夫することによりGHG原単位0.08 kg m-3 (オフセット率70%) まで向上した。電力自給率やGHG排出量を評価し, 下水処理場のポテンシャルの高さが確認できた。