2023 年 46 巻 5 号 p. 149-155
2018年と2021年に手賀沼中央部において総一次生産量 (GPP) と生態系呼吸量 (ER) , クロロフィルa (Chl a) および栄養塩濃度を測定した。独立栄養生物群集, 従属栄養生物群集の活性はともに夏季から秋季にかけて高い値を示し, 水温の影響を強く受けていた。純生態系生産量 (NEP = GPP − ER) は調査期間を通してNEP > 0であり, GPP/ERの平均値は4.0であった。また, GPPの平均値 (9.4 mgO2 L-1 d-1) は閾値GPP (GPP = ERの時のGPP:1.6 mgO2 L-1 d-1) よりも6倍近く高い値であった。このことから調査期間中の手賀沼中央部は独立栄養状態であった。GPPとNEPの変動はChl a濃度の変動と密接に関係しており, GPPとNEPの変動の約40%をChl a濃度で説明することが出来た。