水環境学会誌
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調査論文
顕著な藻類の増殖が観測される河川の水質に関する一考察
秦 弘一郎柏原 学古賀 智子古賀 敬興平川 周作志水 信弘石橋 融子
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2024 年 47 巻 2 号 p. 75-83

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抄録

湖沼や海域に比べて, 河川における藻類増殖が引き起こす有機物量増加 (内部生産) の理解は不十分である。そこで, 河川の内部生産が水質に与える影響を明らかにすることを目的に, 顕著な藻類増殖が見られる花宗川において, 流況や藻類が分画される粒子状物質の元素組成に着目した検討を行った。その結果, 河川において藻類が観測される場合を, pH及び溶存酸素飽和度によって増殖型と流入・混合型に分類することができた。また, 花宗川の滞留区間では, 元素組成比から粒子状物質の多くを藻類が占めることが示唆された。このことから, 生物化学的酸素要求量 (BOD) のうち, 粒子状物質に由来するBOD (P-BOD) を藻類に由来するBOD (BOD-Algae) とした。藻類量の指標としてクロロフィルa (Chl-a) を用いることで, 式 ([BOD-Algae (mg L-1) ] =0.24 ×[Chl-a (μg L-1) ]0.66) が得られた。得られた結果を用いることで, 河川の内部生産がBODへ与える影響を定量的に把握することが可能であった。

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