2025 年 48 巻 p. 11-18
大阪府を流れる平野川では, 合流式下水道越流水 (CSO) が水質汚濁の一因とされている。本研究では, CSO放流時の河川水中の微生物叢を調査した。2023年夏に採取した平野市町抽水場付近の表層水中の16S rRNA遺伝子を次世代シーケンサーによって解析し, 正準相関解析によって水質と関連付けた。CSOの影響が少ない試料では, Flavobacterium属, Acinetobacter属, Limnohabitans属, Flectobacillus属, Cloacibacterium属が優占し, 偏性好気性のLeadbetterella属, Rheinheimera属, Vogesella属の存在によって特徴づけられた。CSOの放流によってSSとCODの濃度が高い試料では, 嫌気性のArcobacter属, Bacteroides属, Tolumonas属, Acidovorax属, Prevotella属が優占し, Firmucutes門の細菌群 (Streptococcus属, Faecalibacterium属, Ruminococcus属など) も増加した。