水環境学会誌
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調査論文
急激な気温上昇と大阪湾の海水温の変動:モニタリングポストデータの解析
川崎 太輝小野 健有田 駿畑中 拓藤原 建紀
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2025 年 48 巻 p. 19-25

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抄録

日本の年平均気温は, 2000年から2010年代前半は緩やかな低下傾向であったが, 2014年の冷夏を境に, 変動を伴いながら急激な上昇となっている。この気温上昇が, 大阪湾の水温に与える影響を, 2010年4月から2024年3月の期間で調べた。冬季 (1月~3月平均) は, 水温は気温と連動して上昇しており, 明石海峡の年最低水温は10年当たり約1.59 ℃上昇した。このため, 日平均水温が10 ℃以下となる日数は, 2011年の84日から減少し, 2023年以降は0日であった。一方, 夏季 (7月~9月平均) は, 気温, 表層水温ともに有意な上昇がみられなかった。表層水温は, 大阪湾底層に紀伊水道の底層から流入する冷水の影響と, 気温の影響を受けて変動していた。このため, 暑夏であっても, 底層への冷水流入があると, 表層水温は上昇しなかった。下層水温の季節変動には, 冷水流入の有無が大きく影響していた。

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