有明海の冬季水質連続データを用い, 赤潮発生予兆を時系列統計解析により検討した。クロロフィルa (CHL) に分散変化点検出を適用した結果, 平常期・遷移期・発散期の3区間に区分された。相関・偏相関解析から, 遷移期には水深・塩分との関係符号が反転して, 潮汐と淡水流入の変化に起因する水質・生態系の相変化が示唆された。pHを因果要因ではなく予兆指標とみなし, pH平均値と分散を特徴量, CHL ≧ 10 μg L-1を赤潮状態とする二値目的変数によるロジスティック回帰モデルを構築した。その結果, AUC = 0.979, 感度0.960, 特異度0.917, 全体正解率0.932と高い識別性能を示した。また, CHL分散の変化点以降の遷移期に赤潮発生確率が段階的に上昇し, 発散期移行のおよそ2~5日前にピーク値が検出された。以上より, 変化点解析とpH時系列特徴量に基づく統計モデルは, 赤潮拡大の数日前に実務上有用な早期警戒情報を提供し得る可能性が示された。