抄録
河口感潮部のように底面剪断応力が周期的に変動する場でのSSの挙動について,底泥の巻き上げとSSの沈降を考慮して検討した。
まず,円形回転水路を用いて室内実験を行ない,移流の影響がない場合について,1周期内でのSSの挙動が4つの限界剪断応力τce1,τce2,τcd1,τcd2を導入する事により説明できる事を示した。また,これらの限界剪断応力の大小関係を考慮する事により,SSの挙動をモデル化した。次に,筑後川河口感潮部でのSS等の実測資料より,河口感潮部では高濃度SS塊が潮汐により上・下流部へ移動しつつ,巻き上げと沈降を繰り返している事を示した。また,SSについての物質収支の観点から,底泥の巻き上げ及びSSの沈降量を算定し,これらと底面剪断応力の時間変化との関係を求めた。その結果,両者の関係は室内実験で得られた結果と同様の傾向を示した。