水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
硫化鉄粉末法を前処理とするフェライト化法による重金属廃水の処理
真島 美智雄田口 洋治吉田 浩釜島 孝一
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1987 年 10 巻 11 号 p. 690-697,672

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抄録
フェライト化処理が困難なクロム, 銅錯体, 水銀, アンチモン, タリウム, モリブデン廃水に硫化鉄粉末を加え前処理した。pH7.0の液を主に6hかけ前処理し, 引き続き, 生成スラリーをpH9.0, 温度65~75℃, 反応時間1h, 硫酸鉄 (II) の添加割合25g・l-1の標準的操作条件でフェライト化した。処理水中および溶出試験液中の金属イオン濃度を測定し, 前処理の効果を評価した。
濃度300mg・l-1以下のクロムまたは銅の廃水は硫化鉄を2.5~6.3g・l-1の割で添加すると処理可能であった。濃度30mg・l-1の水銀またはアンチモン廃水も硫化鉄を2.5g・l-1の割で添加すると処理可能であったが, アンチモンのフェライト化には1.5h必要であった。濃度30mg・l-1のタリウム廃水は硫化鉄を15g・l-1の割で添加し, 前処理およびフェライト化時間をそれぞれ9.0hおよび1.5hに延ばすと処理可能であった。濃度30mg・l-1のモリブデン廃水は1.0mg・l-1まで処理することは困難であった。
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© 社団法人日本水環境学会
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