水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
河川底質の変異原性をモニタリングするための基礎的検討 (1) -致死作用の除去について-
安部 明美杉山 英俊井口 潔久松 由東西村 哲治松下 秀鶴
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1987 年 10 巻 2 号 p. 123-129,104

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抄録
底質の変異原性のモニタリングおよび変異原物質の検索を目的とし, 神奈川県内の多摩川, 鶴見川, 相模川, 酒匂川の河口近くの底質を用いて, 変異原性試験 (エームス法) を行った。底質はジクロロメタン/エタノールで超音波抽出し, 溶媒を留去して粗抽出物試料とした。すべての粗抽出物試料が菌に対する致死作用を示したが汚染の進んだ河川の試料は, 比較的汚染の少ない河川の試料より強い致死作用を示した。変異原性は比較的汚染の少ない相模川の試料のみに認められた。このことから河川底質の変異原性試験には, 致死作用の除去が必要であると考えられた。活性銅カラムによる粗抽出物試料の処理は, 致死作用の軽減に効果があったが, 強い致死作用を示す試料に対しては不十分であった。そこで, 特に強い致死作用を示した鶴見川の粗抽出物の中性成分を高速液体クロマトグラフィーで分離したところ, 致死作用画分が分離し, 変異原性が認められた。
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© 社団法人日本水環境学会
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