抄録
排水中のフッ素を活性アルミナで吸着処理する場合, 活性アルミナへの吸着量はフッ素を含有する排水のpHの影響を強く受ける。一般的に, 液が酸性である場合に活性アルミナによるフッ素の吸着量は最大となる。そこで, 排水のpHが中性付近にある場合に吸着量の多いチタソ添加の活性アルミナ複合体を調製した。即ち, 市販の活性アルミナ1.0当りに硫酸チタソ (IV) 水溶液をチタソ換算で5.0mgの割合で含浸させ, 400℃で2時間加熱し, 複合体を調製した。
バッチ法による試験から, この複合体は排水のpHが7のとき最大吸着量を示すことが確認され, 同一pHで調製前の活性アルミナに比べ, 吸着量は約2倍に増加した。フッ化物イオンの他に硫酸イオソや塩化物イオンが4%程度共存しても, 吸着量への影響はなかった。カラム法の試験から, 処理後の流出液濃度を10mg・l-1とすると, 排水の処理量は活性アルミナの42倍となった。