抄録
糸状性バルキングを考える上で, 実際に汚泥中に出現する糸状性微生物のタイプを正確に同定し, その結果を情報として使用することの意義は, これまでの多くの研究により明らかにされている。今回, オペレータが汚泥の検鏡結果を基に, 計算機と対話的に応答することで容易に同定が行えるような支援システム (知識ベースシステム) の開発を試みたので, その内容を報告し, 併せて知識工学的アプローチの可能性を探ることが本論文の目的である。
試作したプロトタイプシステムは, 約67%の信頼性をもつことが確認された。この信頼性 (知的能力) は, 知識ベースの改善によって今後の向上が望めるものである。今回の支援システムの開発を通して, 下水処理分野への知識工学的アプローチの有用性が明らかになった。