フルボ酸のゲルクロマトグラフィーや限外濾過による分子量分布の測定において, 試料中に共存する塩やpHの影響およびその補正方法に関する知見を得た。また, 代表的な試薬フミン酸4種からpH分画したフルボ酸の分子量分布を求め, 原試薬による違いを比較し, 利根川の水から得たフルボ酸との対応を検討した。
フルボ酸のゲルクロマトグラムは, 試料中のNaCl濃度上昇に伴い第2ピークが生じ, そのKd値は上昇し1に達した。これは静電反応のNaClによる解除ではなく, 吸着や分散のNaClによる促進のためと考えられた。限外濾過の排除率は, 試料中のNaCl濃度上昇に伴い下がる傾向が認められ, pHの上昇に伴い, フミン酸と逆に上昇する傾向が認められた。
従って, ゲルクロマトグラフィーや限外濾過で分子量分布を求める場合, 試料を脱塩するか, 塩濃度を零に外挿して求める必要があることが分かった。