抄録
河川水中に存在する界面活性剤の種類及びその挙動を明らかにすることを主目的にして, 東京都内10河川13地点を調査した。界面活性剤の濃度は, 支川で高く, 本川で低く, また, 夏・秋に低く, 冬に高かった。全陰イオン界面活性剤のうち, LASは73~82%で, AOSは2%で, サルフェート型陰イオン界面活性剤は8~23%であった。非イオン界面活性剤は全陰イオン界面活性剤の約10%の濃度で検出された。界面活性剤の濃度と生物化学的酸素要求量 (BOD) 濃度とは良い相関を示すことから, 界面活性剤は河川を流下する過程であるいは生活排水処理により, BODと同程度に除去されることが分かった。界面活性剤の組成は, 市販の製品中と河川水中とではやや異なり, また季節によってもやや異なったことから, 河川中での吸着・沈殿・分解および生活排水処理により, 界面活性剤のある特定の成分は他の成分に優先して除去されることが分かった。