水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
廃棄物埋立層における窒素の分解過程に関する研究
島岡 隆行花嶋 正孝粟谷 陽一松藤 康司
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1988 年 11 巻 8 号 p. 497-505,495

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抄録
浸出水を埋立地に循環させる「循環式準好気性埋立構造」に見受けられる, 窒素除去に関する実験的検討を行った。焼却灰を充填した埋立模型槽を用い, 浸出水水質の経時変化を求め, 約3年間経過した後に窒素, 有機炭素の物質収支および焼却灰と浸出水中の菌相を調査した。
その結果, 微生物にとって栄養が乏しい環境下においても脱窒が確認され, 脱窒菌は有機炭素源として焼却灰中の未燃分やタンパク分解菌の代謝産物であるアミノ酸などを利用していたことが考えられた。単位脱窒量当りに消費された有機炭素量は, 0.95gであった。
焼却灰および供給水中の有機炭素量は極めて少なく, 低栄養性細菌のDNB細菌が富栄養性細菌のNB細菌よりも多く棲息していたことから, 本研究の脱窒現象は低栄養性の脱窒菌によるものであることが示唆された。
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© 社団法人日本水環境学会
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