抄録
魚類の画像認識により行動パターンを解析し, 水質異常の判定基準を提案することを目的に, 水質正常時, およびモデル物質としてCN-が5.0~0.05mg・l-1存在する水質異常時における1尾のコイ (Cyprinus carpio) の水深方向の位置分布を解析した。得られた結果を以下に要約する。
1) 水質正常時のコイは水槽の下部または中部に位置する頻度が高く, 水深が約70mm以内の水面近くまで浮上する頻度は15%以下であった。
2) 水質異常に伴う鼻上げ行動を判別するために, 魚が水面近くに位置する頻度を “鼻上げ行動指標” と定義し, CN-存在下におけるコイの異常行動パターン (水深約70mm以内に位置する頻度が20%以上) を識別できることを明らかにした。
3) 本研究の実験範囲ではCN-が0.1mg・l-1以上の水質異常を10分間で自動検出可能であった。