水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
繊毛虫類 Trochilioides recta による糸状細菌の捕食
古賀 みな子瀬口 健森 忠洋稲森 悠平須藤 隆一
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1989 年 12 巻 4 号 p. 239-245,231

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抄録
活性汚泥処理におけるバルキングは, Type 021 NやBeggiatoaなどの糸状細菌の異常発生によって起こる。その対策のために, 従来種々の方法が検討されたが, 未だ確実な制御方法が見出されていない。著者らは1983年にバルキングが解消する際に繊毛虫類, Trochilioides rectaの細胞数が増加していることを発見した。本研究では Type 021 N, Beggiatoa sp.または短糸状菌に対するT.rectaの 捕食様式を検討した。 T.rectaは Type 021 N に対して糸状体の先端または途中から捕食し, 糸状体中の細菌を摂食した後管状体を排出した。Beggiatoa sp.に対しては先端から捕食し, 捕食速度はType 021 Nの場合の約7倍であった。また, T.rectaは嫌気条件下で増殖する短糸状細菌も捕食した。以上の結果から, T.rectaは糸状細菌の種類に関係なく補食することが考えられる。
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© 社団法人日本水環境学会
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