抄録
水圏へ流入した有機性有害物質の太陽光による光分解挙動に関する研究の一環として, 2-クロロフェノールの模擬太陽光による光分解挙動を検討し, つぎの結果を得た。
(1) 2-クロロフェノールは天然水のpH領域で, みかけ上, 1次反応で直接光分解するとともに, その速度定数はpHに大きく依存した。
(2) 天然水として取り上げた北潟湖の試水中では春から秋にかけて, 直接光分解と同時に間接光分解も起こり, その全分解に対する寄与率は平均約15%であった。また, 間接光分解速度定数と試水のCODの間に相関がみられた。
(3) 直接および間接光分解のいずれにおいても, 2-クロロフェノールの消失量と同量の塩素イオンが生成した。