パックブンペルオキシダーゼによるフェノール系化合物の処理

抄録

「水耕栽培型水処理法」で連続収穫できるパックブンの有効利用法として,パックブンに含まれるペルオキシダーゼ(PO)を活用したフェノール系化合物の除去につき検討した。パックブンには,葉,茎,根部でそれぞれ26.9,28.1,44.6U・g^-1-湿重の活性でPOが含有され,簡単な水道水による抽出で約6U・ml^-1の活性のPO粗酵素抽出液を調製できた。このPO粗酵素抽出液は-80℃で長期保存可能であった。このPO粗酵素抽出液で100mg・l^-1のフェノール溶液を処理する際の最適値は,初発pH5.0,添加H₂O₂濃度2.5mM,添加PO活性0.3U・ml^-1,反応時間5時間であった。フェノール以外にPO粗酵素抽出液によって1-ナフトール,8-ヒドロキシキノリンを95%以上の効率で沈殿除去できた。さらに,PO粗酵素抽出液により,フェノール濃度を1,000mg・l^-1程度に希釈すればフェノール含有工場排水中のフェノールを85%程度の効率で除去できることを明らかにした。