抄録
フミン質構成化合物の同定方法として,フミン質を分解後ジアゾメタンでメチル化しガスクロマトグラフで分析する方法がしばしば報告されている。しかし,ジアゾメタンによるメチル化方法については問題点が指摘されている。著者らはモデル化合物として,ヒドロキシル基あるいはカルボキシル基で置換された22種のベンゼン類を選び,これらを3種のメチル化方法(ジアゾメタンによるメチル化方法,Phase-Tansfer-Catalyzedメチル化方法,Dimethyl Sulfate-Potassium Carbonateメチル化方法)でメチル化し反応率を求めた。その結果,Dimethyl Sulfate-Potassium Carbonateメチル化方法が最も安定したメチル化方法であった。フミン酸の過マンガン酸カリウム分解生成物についても3種の方法でメチル化したが,結果はモデル化合物の場合と同様であった。また,反応生成物の大部分はベンゼソのカルボキシル基置換体(モノ置換体を除く)のメチルエステルであった。