水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
Microcystis viridis産成有毒物質の浄水の生物膜法による分解除去
稲森 悠平大野 泰宏彼谷 邦光渡辺 信須藤 隆一
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1990 年 13 巻 8 号 p. 525-530,498

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抄録
微小後生動物の存在する生物膜法における藍藻類Microsystisviridisおよびその含有する有毒物質シアノビリジンの分解除去能について,水理学的滞留時間(HRT)がいかなる影響を及ぼすか,また分解能が長期的に安定して継続するのかどうかを解明するために,生物膜処理システムとして連続培養装置を用い,分析法として高速液体クロマトグラフィーによる評価実験を行った。
その結果,有毒物質シアノビリジンは,HRT1.5hで70%以上,HRT12h以上では90%以上除去されること,生物膜処理装置を長期にわたって運転しても安定して高い除去能が得られ,かつ流入水のシアノビリジンを100%とした場合,生物膜内にはシアノビリジンは0.02%しか蓄積されず,効率よく分解されることが明らかとなった。このことより,生物膜法は有毒藍藻類の異常増殖した湖沼水中の藻体および有毒物質を浄水工程前段において分解除去するための有効な手段になることが確認できた。
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© 社団法人日本水環境学会
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