抄録
本研究では, 発泡ポリスチレン濾材と多段切り換え原水供給方式を用いた生下水の直接濾過において, 高効率除去に適した濾材径と原水供給管の設置間隔の選定, 浮上性濾層の固液分離特性, 濾材の耐久性, および分離懸濁物の沈降濃縮特性等について実験的に検討した。実験の結果, 濾材径は5.5mmが適切であり, 原水供給を濾層の閉塞により, 順次下の供給管に切り換える本濾過方式は濾過継続時間とSS捕捉量を大幅に増大することがわかった。濾層厚3m, 濾過速度150m・d-1~220m・d-1, および4段の切り換え濾過の場合, SS除去率が80%以上, BOD除去率が約50%, 濾過継続時間が30時間以上, および洗浄水量比が2~4%であった。濾材径は, 1.5年間の運転で初期値の約80%まで縮小するがその後はさほど縮小しないことがわかった。5,000と50,000m3・d-1規模の試設計の結果, 本濾過法の所用面積は最初沈殿池の35~50%であり, かなりの省面積化を図れることがわかった。