抄録
パイロットスケールの完全混合型三相流動槽を用いて, 学生食堂厨房排水の生物処理を行った。装置設計にはすでに筆者らが提案したBOD処理を指標とした1次反応近似式を用い, 処理効率を高めるため装置は4槽直列多段式とした。全装置容積は約1m3とし, 担体はCB濾材を容積で約20%充填した。処理水量を1m3・d-1とし, 1年半以上にわたり連続処理実験を行った。
厨房排水の大きな負荷変動にもかかわらず, 年間を通してBOD・TOC・リン・油分等の良好な除去が得られた。窒素の除去は負荷変動の影響を受けた。また, 単位容積当りの処理速度はBODについて2,050g・m-3・d-1, TOCについて230g・m-3・d-1を得た。さらに, TOCを基準とした生物処理特性値として, 1次反応近似式を適用し, K/Km=0.0164m・d-1を得た。これらの結果より三相流動槽が厨房排水処理に充分適用可能であることが確認された。