水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
二相式嫌気牲メンブレンリアクターにおけるメタン生成細菌の活性について
油科 嘉則長谷川 潤
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1991 年 14 巻 12 号 p. 859-866,857

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抄録

大豆タンパク加工排水を処理するパイロットスケールの固定床型酸発酵槽およびメタン発酵槽の間に分離膜を設置した二相式嫌気性リアクターの各槽の担体に付着しているメタン生成細菌の活性を調査した。6種類の基質を使用したバイアルテストによりメタン生成比活性を求めた結果, SS閉鎖系となる分離膜+酸発酵槽と膜透過水を受容するメタン発酵槽の担体付着細菌について次のことがわかった。酸発酵槽の細菌は, ギ酸, 酢酸, プロピオン酸, 酪酸よりもエタノール基質に対して高い比活性を示した。メタン発酵槽の細菌は, 文献のUASBグラニュールのバイアルテスト結果と比較して, 同等かそれ以上の比活性を示した。本実験より, 酸発酵槽からのメタン生成はタンパク質, アミノ酸, エタノール分解経路が大きく寄与していること, メタン発酵槽のメタン生成細菌は有機酸培養のUASBグラニュールと類似した共生関係を有する細菌群であることが考察された。

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© 社団法人日本水環境学会
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