抄録
各種の自然水域から得た試料を用いたマイクロコズム実験により,富栄養化水域でのバクテリアによる分解活性の定量化を試み,下記のような成果を得た。
(1) バクテリアによって分解される有機物は,その分解速度によって分解速度定数が0.8~0.2d-1の易分解成分と0.007~0.015d-1の難分解成分に明瞭に大別でき,死滅したプランクトン由来の有機物では,溶解性の70~80%が,浮遊性の30%以下が易分解成分である。
(2) 20℃におけるバクテリアの最大比増殖速度は,浮遊性基質利用の場合で0.19d-1,溶解性基質の場合で0.27d-1であり,収率は0.5である。
(3) その呼吸速度R(mgO2・l-1・h-1)は,生菌数B(個・l-1)とT-COD濃度S(mg・l-1)により,R=b・B・(S/B)3/4(bは係数値;3.3×10-5((20℃))の式で推定できる。