抄録
固定床型メタン発酵リアクターに分離膜を複合化させた嫌気性二相式メンブレンリアクターを用いて大豆タンパク加工排水を処理した。本排水はBOD約1,000mg・l-1,VSS約690mg・l-1と有機物濃度が低く固形物比率が高い特徴を有している。固定床型のリアクターの採用により分離膜へのSS負荷を軽減でき,また高い付着大豆タンパクSSと菌体により可溶化速度を向上することができた。大豆タンパクSSの可溶化ラボテストによりpH6近傍で最大の可溶化速度定数0.17d-1を得た。連続フィールドテストでは,分離膜により基質となる大豆タンパクSSと菌体を同時に濃縮し,有機酸を主とする透過液をメタン発酵槽へ送液でき完全な二相分離を達成できた。また酸発酵担体の付着SSの組成分析により全付着SSの41~56%が大豆タンパクSSであった。この結果,フィールドテストでの可溶化速度は,0.28d-1~0.33d-1であると推定された。