水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
嫌気性二相式メンブレンリアクターによる大豆タンパク加工排水処理
酸発酵槽・分離膜複合反応系での可溶化・酸発酵に関する研究
油科 嘉則長谷川 潤
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 14 巻 5 号 p. 322-333,300

詳細
抄録
固定床型メタン発酵リアクターに分離膜を複合化させた嫌気性二相式メンブレンリアクターを用いて大豆タンパク加工排水を処理した。本排水はBOD約1,000mg・l-1,VSS約690mg・l-1と有機物濃度が低く固形物比率が高い特徴を有している。固定床型のリアクターの採用により分離膜へのSS負荷を軽減でき,また高い付着大豆タンパクSSと菌体により可溶化速度を向上することができた。大豆タンパクSSの可溶化ラボテストによりpH6近傍で最大の可溶化速度定数0.17d-1を得た。連続フィールドテストでは,分離膜により基質となる大豆タンパクSSと菌体を同時に濃縮し,有機酸を主とする透過液をメタン発酵槽へ送液でき完全な二相分離を達成できた。また酸発酵担体の付着SSの組成分析により全付着SSの41~56%が大豆タンパクSSであった。この結果,フィールドテストでの可溶化速度は,0.28d-1~0.33d-1であると推定された。
著者関連情報
© 社団法人日本水環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top