抄録
活性炭に対する平衡吸着量が既知の有機化合物の数はまだ少ない。また報告されている吸着データも測定条件が異なるため, そのデータを他へ利用できない。そこで一定の条件で測定された吸着データベースが必要となってくる。本報では157物質からなるデータベースを求めた。そして, これ以外の化合物の吸着データを推算するために, まずこのデータから吸着量を精度良く表す吸着性指標 (AI) を決定し, この指標を用いた推算法を検討した。AIはAとIの二成分から成り, Aは分子中に含まれる原子や官能基の吸着性を増加させる要因を表しIは低下させる要因を表す。分子の吸着性指標AIを求めるには, その分子を構成する原子や官能基のA値とI値の和を計算すればよい。157物質のAI値とFreundlich吸着定数logK間には高い相関が認められた。ここで決定されたA値やI値は, 種々の活性炭に対する吸着量の推算に利用できた。