抄録
家庭系生ごみの資源化の自治体施策があまり進んでいない原因の一つに,分別への住民協力の調達等の問題がある。住民協力がどの程度得られるかは,生ごみ資源化方法によって異なり,都市化の進展や住宅事情等によっても異なる。従来のLCA研究は,生ごみが100%資源化されるという設定で生ごみ資源化システムを比較している。しかし大型資源化施設において分別への住民協力が低い場合,あるいは家庭用の資源化装置において普及率が低い場合に,実際に資源化される生ごみ量に基づくLCA結果は,100%資源化前提のLCA結果と異なる可能性がある。そこで本研究は,住宅事情,分別回収への協力率,コンポスターや生ごみ処理機の普及率等をLCAに組み込んだ。その結果,住民協力率が異なると,各生ごみ資源化システム間の評価が異なることが判明した。各地域は,どの程度の住民協力を調達できるかによって,それぞれ独自の評価を生ごみ資源化システムに与えることが望ましい。