廃棄物学会論文誌
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論文
焼却灰中における生分解性プラスチックの分解特性
土井 麻記子深津 和彦花嶋 正孝
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2004 年 15 巻 2 号 p. 114-120

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抄録
生分解性プラスチックの一般土壌中における分解については研究報告がなされているが, 焼却灰主体の埋立廃棄物中に埋設された場合の分解特性と微生物活性に関する知見はこれまでにない。本研究では, PLA, PBSA, PHB/V, PBS, PCLの5種類の生分解性プラスチック素材を, 焼却灰主体の埋立廃棄物 (A: 焼却灰+不燃破砕ごみ, B: A+コンポスト) 中に埋設した場合の分解の様子, 面積消失率, SEM観察など物理的側面からの観察を行い, その分解要因を調査した。その結果, 焼却灰中での分解特性として, 以下の点が明らかとなった。 (1) 焼却灰主体の埋立廃棄物中における分解型は, 微生物関与で生じている孔拡大型と, 焼却灰中のアルカリ成分による加水分解で生じるクラック発生型の2タイプみられた。 (2) 焼却灰主体の埋立廃棄物中において, 有機物の添加や温度上昇など, 微生物活性を高める操作を行うことによってBPの生分解が促進された。 (3) 有機物含有量の少ない焼却灰中においては, 一般土壌と同程度の分解速度を示すことがわかった。 (4) 生分解を受けたBPは, PBSA>PHB/V>PCL>PBSの順で分解が速かった。 (5) BPが生分解を受けない場合は, 焼却灰中のアルカリ成分によってクラックが生じた。 (6) 焼却灰主体の埋立廃棄物は, PBSAとPCLによって微生物活性が高められたと推察された。
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© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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