1995 年 6 巻 6 号 p. 225-234
国際的に統一さ尊た溶出試験を目指して提案されつつあるアベイラビリティ試験とpH依存性試験を3種類の都市ごみ焼却飛灰に適用し, その有効性を検討した。同時にわが国の溶出試験である環境庁告示第13号で定める試験法 (告示法) を行い, 結果を比較してその問題点を指摘した。Cd, Cu, Pb, Znの4元素は, いずれも灰の種類によらず同様の溶出挙動を示した。また告示法の結果はほぼpH依存性試験で得られた曲線上にプロットされ, 告示法がpHに支配された試験であることが判った。アベイラビリティ試験は, 環境中で想定される最大の溶出量を把握する試験として概ね妥当といえたが, 元素によっては低pH側や高pH側での溶出量を把握しきれない場合もみられ, 試験条件にさらなる検討が必要であると思われた。3種の灰のうち, アベイラビリティ試験による溶出量は告示法で基準 (Cd, Pb) を下回った灰が最も高く, 告示法では溶出ポテンシャルを適切に把握できない可能性が示された。