廃棄物学会論文誌
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6 巻, 6 号
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論文
  • 早瀬 光司, 赤井 裕, 八太 昭道, 和田 英樹
    1995 年 6 巻 6 号 p. 215-224
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ある事務系オフィス (一つの「社会システム」) を環境監査の実験系として選択し, 導入と送出の実態監査を実施し, 「系」と「環境」とを明確に区分した具体的な方法論による環境監査の一つのモデルを提示した。
    事務系オフィスにおいて, 導入部として導入資料 (持ち込む書類など) , コピー用紙, および配送物, 送出部として, 知的生産物 (報告資料など) , 資源化される紙類, および焼却される紙類について, 重量をその細目別に1993年11月5-12日の期間に実測した。系内の代謝・滞留部としては, うら紙の発生量と使用量を細目毎に計測した。実測されたデータをもとに, 環境監査の基礎的かっ基本的なデータとなる環境収支簿記を作成した。これは「社会システム」へ導入・送出される物質・エネルギーの総量と質の内訳を示す「物質とエネルギーの収支計算書」といえるが, 財務監査の損益計算書に対応するものである。
    この環境収支簿記をもとにして, 本実験系と環境との関わり方の実態を明らかにし, 環境負荷低減のための提案を行った。この簿記はある特定の「社会システム」にのみ限定される特殊な表ではなく, 世界中の一般的な事業所すべてに当てはまる共通性をもったモデルであることを示した。
  • ―アベイラビリティ試験とpH依存性試験―
    酒井 伸一, 水谷 聡, 高月 紘, 岸田 拓郎
    1995 年 6 巻 6 号 p. 225-234
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    国際的に統一さ尊た溶出試験を目指して提案されつつあるアベイラビリティ試験とpH依存性試験を3種類の都市ごみ焼却飛灰に適用し, その有効性を検討した。同時にわが国の溶出試験である環境庁告示第13号で定める試験法 (告示法) を行い, 結果を比較してその問題点を指摘した。Cd, Cu, Pb, Znの4元素は, いずれも灰の種類によらず同様の溶出挙動を示した。また告示法の結果はほぼpH依存性試験で得られた曲線上にプロットされ, 告示法がpHに支配された試験であることが判った。アベイラビリティ試験は, 環境中で想定される最大の溶出量を把握する試験として概ね妥当といえたが, 元素によっては低pH側や高pH側での溶出量を把握しきれない場合もみられ, 試験条件にさらなる検討が必要であると思われた。3種の灰のうち, アベイラビリティ試験による溶出量は告示法で基準 (Cd, Pb) を下回った灰が最も高く, 告示法では溶出ポテンシャルを適切に把握できない可能性が示された。
  • 高岡 昌輝, 武田 信生, 岡島 重伸
    1995 年 6 巻 6 号 p. 235-244
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ごみ焼却炉排ガス中の水銀はバグフィルターによって除去されうるが, その除去機構はいまだ明確ではない。本研究では, 乾式フィルター層ではどのような因子が水銀除去に重要であるかを, 飛灰焼成飛灰活性炭を用いて詳細な基礎実験を行った。飛灰においては未燃炭素含有量, 温度といった因子が, また焼成飛灰に活性炭を添加した場合には活性炭の混合割合, 温度, 塩化水素濃度といった因子が水銀除去に大きな影響を及ぼすことがわかった。さらに, X線回折分析から粉粒体中での水銀の形態は塩化第一水銀と推定された。これらの実験結果から, 水銀は粉粒体中で吸着還元反応と, それに続く還元脱着反応の二段階の反応が生じていると仮定し, モデル化を行った。その結果, 還元脱着反応の反応速度定数が吸着還元反応の反応速度定数に比べて非常に小さく, 実験で観察された現象が説明できた。乾式フィルター層での水銀除去機構は化学反応を伴った吸着であるといえる。
  • 吉田 英樹, 田中 信寿, 穂積 準
    1995 年 6 巻 6 号 p. 245-251
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    廃棄物埋立層が, 透気 (水) 係数の低い覆土で包み込まれる, あるいは水面下にあり, しかも層内に温度差がある場合はガスおよび水の自然対流が起こる可能性がある。そこで, 多孔質体内の自然対流理論を廃棄物層に適用し, まずRaDaを用いた自然対流発生限界状態を示す線図により検討した。その結果, ガスの自然対流が発生する可能性は非常に低いが, 水面下の廃棄物層では条件によっては水の自然対流が発生する可能性があることがわかった。そこで, 自然対流を考慮した温度分布を熱収支方程式とBrinkmanの式から求めたところ, 廃棄物層が持つと思われる浸透率 (固有透水係数) の範囲 (10-11~10-10m2) で水の自然対流による温度分布への影響が見られることが確認された。したがって, 層内に大きな温度差があり, かつ透水性の高い海面埋立地内の温度分布を計算する際は自然対流を考慮しなければならない場合があることがわかった。
  • 小川 雄比古, 田所 正晴, 大野 茂
    1995 年 6 巻 6 号 p. 252-258
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    生活排水処理対策の一環として, 小型合併処理浄化槽の普及が精力的に進められている。しかし, 新しい方式のため, この装置から排出される清掃汚泥の量的, 質的性状はほとんど明らかにされていない。
    そこで, し尿処理施設における浄化槽汚泥処理の一環として, 小型合併処理浄化槽清掃汚泥の排出量や性状を調査したところ, つぎのことが明らかとなった。引抜き汚泥量は処理対象人員1人1年あたり約0.84m3であり, TSは22, 000mg/l, BOD6, 000mg/lであった。排出量は従来のものに比べて1~2.5倍であり, 濃度は単独処理浄化槽汚泥と従来の中・大規模合併処理浄化槽汚泥の中間の値であった。また, し尿に対する濃度比は30-70%で, 固形物が多く, 有機物が少ない特徴があった。これらの結果から, 早急に浄化槽汚泥の処理技術を開発する必要性が示唆された。
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