廃棄物埋立層が, 透気 (水) 係数の低い覆土で包み込まれる, あるいは水面下にあり, しかも層内に温度差がある場合はガスおよび水の自然対流が起こる可能性がある。そこで, 多孔質体内の自然対流理論を廃棄物層に適用し, まずRaとDaを用いた自然対流発生限界状態を示す線図により検討した。その結果, ガスの自然対流が発生する可能性は非常に低いが, 水面下の廃棄物層では条件によっては水の自然対流が発生する可能性があることがわかった。そこで, 自然対流を考慮した温度分布を熱収支方程式とBrinkmanの式から求めたところ, 廃棄物層が持つと思われる浸透率 (固有透水係数) の範囲 (10-11~10-10m2) で水の自然対流による温度分布への影響が見られることが確認された。したがって, 層内に大きな温度差があり, かつ透水性の高い海面埋立地内の温度分布を計算する際は自然対流を考慮しなければならない場合があることがわかった。