都市ごみ焼却施設より排出される排ガス中の水銀をバグフィルターによって除去することを想定して, ごみ焼却飛灰の水銀除去能について室内規模で実験的に検討した。既存技術の欠点を克服するため, (1) 200℃の高温において, (2) 金属水銀に対しても80%以上の高い除去率を得られることを実験の目的とした。
その結果, 飛灰が上記条件を満足し, 200℃においても金属水銀に対して高い除去能をもつことを明らかにした。さらに, その除去機構は, (1) 飛灰中の水溶性化合物である塩化カルシウムと未燃炭素や多孔性無機物などの吸着能をもっ物質が関与していること, (2) 塩化カルシウムと吸着能をもっ物質が, それぞれ単独では金属水銀除去能は低く, 両者がともに存在することによって, はじめて高い除去能を発揮できることなどの興味深い知見も得た。