廃棄物学会論文誌
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7 巻, 2 号
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論文
  • 和田 安彦, 三浦 浩之, 中野 加都子
    1996 年 7 巻 2 号 p. 49-57
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    リサイクルの実施が社会的な目標となっている現在, リサイクルを活性化させながら環境負荷の低減化を図るためには, リサイクルが環境負荷低減化効果があることを科学的, 客観的に示すこと, およびリサイクルによる環境負荷を低減化させるための目標を明らかにすることが必要である。
    本研究は, リサイクル, 処理処分プロセスにおける環境負荷定量化の考え方を述べるとともに, リサイクル効果を定量化し, リサイクルにおける環境負荷を低減化するための社会システム上の問題を明らかにするために, LCAを適用する手法を提案するものである。ここでは自動車バンパのリサイクルをケーススタディとしてとりあげ, 現状のリサイクルにおける環境負荷低減化効果の有無とその定量化, 環境負荷の高いプロセスの特定とそれを解決するために必要な具体的目標を明らかにした。
  • 大森 友也, 寺島 泰
    1996 年 7 巻 2 号 p. 58-67
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    廃棄物の発生予測および制御を可能とするには, 発生源における発生過程の構造を定量的に知ることが必要である。本論文では, 都市廃棄物の発生源の主要部分である一般家庭について, 家庭における廃棄物発生と密接な関係があると考えられる消費財消費に着目した。統計資料情報に基づいて消費財の消費実態を検討し, 消費財消費に影響を及ぼす要因として世帯属性を取り上げた。そのうち「年間収入」「世帯人員」「世帯主年齢」という3種類の世帯属性を用いて統計的手法により家計消費の構造を解析し, 消費財の分類別消費予測式を作成するとともに, 世帯属性による家計消費予測を試みた。その結果, 消費統計資料の統計的精度によって予測精度のばらつきはあるものの, かなりの精度で短期的予測が可能であることが明らかになった。
  • 松藤 敏彦, 田中 信寿, 金 贏載
    1996 年 7 巻 2 号 p. 68-77
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    家庭系ごみを原料とする4つのごみ燃料 (RDF) 生産施設, および事業系ごみを原料とする1施設について, エネルギー, コスト, 環境影響を評価した。また, 限られた測定データから組成ごとの物質収支を推定する方法を示した。
    間接投入エネルギーは建設, 補修・整備, 直接投入エネルギーは電力, 重油の占める割合が大きいことがわかった。エネルギー収率は3施設については正であり, エネルギー的に有効なシステムであるといえる。他の2施設については乾燥効率の向上, 運転の正常化が課題である。
    RDFtonあたりの生産コストは3~12万円である。生産熱量Mcalあたりにすると生産コスト8~30円であるのに対し, 販売価格は0.5~2.4円にすぎない。
    RDF中の重金属含有量は, 原料ごみの分別, RDF生産施設における燃料化不適物の除去によって可燃ごみ中の含有量より低いレベルにある。燃焼灰の溶出試験の結果, Cd, Pbともに検出限界以下であった。
  • 西谷 隆司, 福永 勲, 伊藤 尚夫, 野邑 奉弘
    1996 年 7 巻 2 号 p. 78-87
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    都市ごみ焼却施設より排出される排ガス中の水銀をバグフィルターによって除去することを想定して, ごみ焼却飛灰の水銀除去能について室内規模で実験的に検討した。既存技術の欠点を克服するため, (1) 200℃の高温において, (2) 金属水銀に対しても80%以上の高い除去率を得られることを実験の目的とした。
    その結果, 飛灰が上記条件を満足し, 200℃においても金属水銀に対して高い除去能をもつことを明らかにした。さらに, その除去機構は, (1) 飛灰中の水溶性化合物である塩化カルシウムと未燃炭素や多孔性無機物などの吸着能をもっ物質が関与していること, (2) 塩化カルシウムと吸着能をもっ物質が, それぞれ単独では金属水銀除去能は低く, 両者がともに存在することによって, はじめて高い除去能を発揮できることなどの興味深い知見も得た。
  • 位地 正年, 横山 貞彦
    1996 年 7 巻 2 号 p. 88-96
    発行日: 1996/03/21
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    プリント配線基板の製造工程では, 硬化したエポキシ樹脂, ガラス繊維, および銅回路からなる成形残が発生するが, われわれはこれらを粉砕・分離して再資源化する技術を開発した。粗粉砕と微粉砕を組み合わせた粉砕工程と, 比重分離と静電分離を組み合わせた分離工程によって, これらの成形残を銅を主体とする粉体 (銅リッチ粉) と, ガラス繊維と樹脂の混合粉 (ガラス繊維・樹脂粉) に効率的に分離できた。特にこれらを平均粒径で100~300μmの間に粉砕すると, 銅は90%以上 (最高96%) の回収率で回収することが可能であった。また回収したガラス繊維・樹脂粉は塗工材料や接着材料などに使用されるエポキシ樹脂組成物の充填材として利用すると, 通常の充填材のタルク粉や炭酸カルシウム粉, さらにガラス短繊維と比べて強度特性や寸法安定性を向上できることがわかった。
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