抄録
ごみ埋立地においては, 依然として衛生害虫による被害や悪臭問題などが発生している。また, 衛生害虫対策としての薬剤の使用は, 衛生害虫の薬剤抵抗性を発達させ, 駆除可能な殺虫剤が限定されるなど深刻な問題となっている。しかし, 覆土の施工は, 埋立地を延命化させるために回避される傾向にある。
本研究は, 消失してごみ埋立容量を消費することのない, 2種類の即日覆土代替材フォーム (非硬化型および硬化型フォーム) によるイエバエの発生抑制効果を南部九州の埋立地で調査したものである。埋立区画にフォームを約1ヵ月間にわたり継続散布した。イエバエの生息密度におよぼす気象の影響を考慮して, フォーム散布後のイエバエの発生状況を検討した結果, イエバエの発生が抑制される様子が認められ, フォームは覆土材として有効である可能性が示唆された。また, イエバエの生息密度を求める方法として, 粘着ロープを用いる方法 (粘着ロープ法) を試みた。