抄録
現在,汚泥は産業廃棄物排出量全体の約半分を占め,下水汚泥が最も多い。この排出量低減のため,発生汚泥に対し,微生物細胞壁を破壊し生分解性を高めるための前処理を施し,下水処理システム中の曝気槽に戻すことによって,汚泥を生分解する試みがなされている。この操作を繰り返すことにより,システム外に排出される汚泥を大幅に減量化し,またバイオガスやリンといった資源の増進回収も可能となる。 本研究では高効率かつ低コストの前処理プロセスとして,超音波照射と光触媒反応を併用するソノフォトキャタリシス分解法を提案した。回分式装置を用いた基礎実験の結果,(1)超音波周波数は低い方が良い,(2)段階的ソノフォトキャタリシスが有効である,(3)光触媒濃度には最適値があり,今回の実験条件では0.05g/Lであった,(4)機械的撹拌と紫外線照射の併用により,汚泥ろ液中への有機物溶解が促進される,といった知見が得られた。